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大阪地方裁判所 平成6年(行ウ)50号 判決 1995年11月29日

大阪府豊中市勝部二丁目一九番一号

原告

楠本ネオン株式会社

右代表者代表取締役

楠本丞

右訴訟代理人弁護士

関戸一考

大阪府池田市城南二丁目一番八号

被告

豊能税務署長

右指定代理人

中牟田博章

石井洋一

湯田昭児

的場俊雄

内藤元子

主文

一  原告の請求をいずれも棄却する。

二  訴訟費用は原告の負担とする。

事実及び理由

第一原告の請求

一  被告が原告に対し、平成五年三月八日付けでした原告の平成元年一一月分の給与所得の源泉徴収に係る所得税の納税告知及び不納付加算税の賦課決定は、いずれもこれを取り消す。

二  被告が原告に対し、平成五年三月八日付けでした原告の平成二年一一月分の給与所得の源泉徴収に係る所得税の納税告知及び不納付加算税の賦課決定は、いずれもこれを取り消す。

三  被告が原告に対し、平成五年三月八日付けでした原告の平成三年四月分ないし同年九月分及び同年一一月分の給与所得の源泉徴収に係る所得税の各納税告知並びに不納付加算税の各賦課決定のうち、同年八月分の給与所得の源泉徴収に係る所得税七万六六七一円を超える部分は、いずれもこれを取り消す。

四  被告が原告に対し、平成五年三月八日付けでした原告の平成元年一一月分、平成二年一一月分、平成三年四月分ないし同年九月分及び同年一一月分の給与所得の源泉徴収に係る所得税の各納税告知に係る源泉納税義務は、平成三年八月分の給与所得の源泉徴収に係る所得税七万六六七一円を除いては存在しないことを確認する。

五  訴訟費用は被告の負担とする。

第二事案の概要

本件は、原告が別表二記載のとおり、役員及び使用人に対して支給した開発費(以下「本件開発費」という。)及び雑手当(以下「本件雑手当」という。)は所得税法二八条一項にいう給与等に当たらないから、原告はこれらにつき同法一八三条一項に基づく所得税の源泉徴収義務を負わないとして、原告が、被告に対し、被告が平成五年三月八日付けでした原告の平成元年一一月分、平成二年一一月分、平成三年四月分ないし同年九月分及び同年一一月分の給与所得の源泉徴収に係る所得税の各納税告知並びに不納付加算税の各賦課決定の一部取消しと右各納税告知に係る源泉納税義務の一部不存在確認を求めた事案である。

一  争いのない事実

1  原告は、屋外広告用看板の製造、設置及び仲介等を目的とする株式会社である。

2  被告は、平成五年三月八日付けで原告の平成元年一一月分、平成二年一一月分、平成三年四月分ないし同年九月分及び同年一一月分の給与所得の源泉徴収に係る所得税について、別表一記載のとおり、右所得税の合計額を三九七万九六〇二円とする各納税告知(以下「本件納税告知」という。)及び不納付加算税の合計額を三九万三〇〇〇円とする各賦課決定(以下「本件賦課決定」という。)をした。

3  原告は、被告に対し、平成五年三月一一日、本件納税告知及び本件賦課決定を不服として、異議申立てをしたが、被告は、同年五月二八日付けで異議申立棄却決定をした。

4  原告は、国税不服審判所長に対し、平成五年六月一日、審査請求をしたが、国税不服審判所長は、平成六年二月二四日付けで審査請求棄却裁決をした。

二  争点についての当事者の主張

1  原告の主張

(一) 本件開発費について

本件開発費は、接待交際費、厚生費、旅費交通費、運搬費、外注費、仕入れ、事務用品費、通信費、消耗費、修繕費等として、支給したものであり、所得税法二八条一項にいう給与等に当たらないから、本件開発費につき原告に所得税の源泉徴収義務があるとしてされた本件納税告知及び本件賦課決定は、いずれも違法である。

(二) 本件雑手当について

本件雑手当は、原告の業務遂行上必要な海外研修のための旅費交通費として、支給されたものであり、所得税法二八条一項にいう給与等には当たらない。もっとも、このうち、海外研修に参加しなかった木下保子に対して平成三年八月に支給された七〇万円については、給与等に該当することを認める。

したがって、本件雑手当につき原告に所得税の源泉徴収義務があるとしてされた本件納税告知及び本件賦課決定のうち、平成三年八月分の給与所得の源泉徴収に係る所得税七万六六七一円(木下保子に対して支給した右金額に対するもの)を超える部分はいずれも違法である。

(三) 信義則違反について

原告は、一〇年以上前から開発費の支給を行っているが、これまで税務調査の際に右支給について改善を指示されたことはなく、昭和五九年度には、申告是認通知を受けている。また、原告は、本件雑手当支給に先立ち、国税局の職員から、<1>旅行行程が同一であったり、パック旅行への参加であったりしないこと、<2>会社負担の支給額の決定基準を明確にすること、<3>出張先、行程を事前に会社が把握しておくこと、<4>出張終了後、報告書等の記録を残すこと、<5>パスポートのコピーを提出させること、以上の要件を満たせば、本件雑手当の支給は、海外渡航費として経費扱いとなる旨の指導を受けた。したがって、従前の取扱や税務署職員の指導内容に反し、本件開発費及び本件雑手当が給与等に該当するとしてされた本件納税告知及び本件賦課決定は、信義則に反し、違法である。

2  被告の主張

(一) 本件開発費について

原告は、その業務に有益な企画等を行った使用人等に対し、その実績に応じて本件開発費を支給してきたものであるから、本件開発費は、一種の賞与というべきであり、所得税法二八条一項にいう給与等に該当する。

したがって、本件開発費につき所得税法一八三条一項に基づく所得税の源泉徴収義務があるとしてされた本件納税告知及び本件賦課決定は、いずれも適法である。

(二) 本件雑手当について

原告は、創業九〇周年記念として、一定年数以上勤務している使用人等に対し、その功績に応じて本件雑手当を支給したものであり、仮に原告の主張するように、使用人等が本件雑手当を海外渡航費に充てたものであるとしても、右海外渡航は、原告の業務遂行上必要なものとはいえないから、本件雑手当は、所得税法二八条一項にいう給与等に該当する。

したがって、本件雑手当につき所得税法一八三条一項に基づく所得税の源泉徴収義務があるとしてされた本件納税告知及び本件賦課決定は、いずれも適法である。

(三) 信義則違反について

租税法律関係において信義則の法理が適用されるのは、租税法規の適用における納税者間の平等、公平という要請を犠牲にしてもなお当該課税処分に係る課税を免れしめて納税者の信頼を保護しなければ正義に反するといえるような特別の事情が存する場合に限られ、右特別の事情が存するといえるためには、少なくとも、税務官庁が納税者に対して信頼の対象となる公の見解を表示したことが必要である。税務署職員の単なる助言や申告是認通知は、税務官庁の公の見解を表示したものとはいえないから、本件において、信義則の法理が適用される余地はない。

第三争点に対する判断

一  当事者間に争いのない事実に、証拠(甲二の一ないし四、三、四の一の一及び二、四の二の一ないし三、四の三、の一ないし三、四の四の一及び二、四の五の一及び二、四の六の一及び二、四の七の一及び二、四の八の一及び二、四の九の一及び二、四の一〇の一ないし三、四の一一、四の一二の一及び二、四の一三の一及び二、五、七の一ないし四、七の五の一及び二、七の六ないし八、八ないし一二、一二の一ないし一三、一三、一七、乙一、三、四の一ないし三、原告代表者尋問の結果)及び弁論の全趣旨を総合すると、以下の事実が認められる。

1  本件開発費の支給について

(一) 原告は、一〇数年前から、役員及び使用人に対し、開発費又は研究費の名目で、年間五〇万円ないし三〇〇万円程度の金員を支給し、これを各事業年度の損金に計上してきた。右開発費等は、売上に対する一定の割合を超えない範囲内で、原告の業務に有益な企画等を行った役員及び使用人に対し、その功績の度合いに応じて支給されてきた。

(二) 原告は、別表二記載のとおり、役員及び使用人に対し、平成元年一一月に合計二〇七万五〇〇〇円、平成二年一一月に合計二四五万円、平成三年一一月に合計一九七万五〇〇〇円を本件開発費として支給し、各事業年度の損金に計上した。各人に対する支給額は、その功績によって決定され、別表二記載のとおり、最低五万円、最高三〇万円の範囲で、二万五〇〇〇円刻みのランク付けがされている。

2  本件雑手当の支給について

(一) 原告は、平成二年、創業九〇周年を記念して、役員及び使用人に対して本件雑手当を支給し、海外渡航のための休暇を与えることを計画した。そこで、原告は、大阪国税局税務相談室及び豊能税務署において、本件雑手当支給に伴う税務処理について相談したところ、海外渡航費の損金算入が認められるためには、<1>旅行行程が同一であったり、パック旅行への参加であったりしないこと、<2>会社負担の支給額の決定基準を明確にすること、<3>主張先、行程を事前に会社が把握しておくこと、<4>主張終了後、報告書等の記録を残すこと、<5>パスポートのコピーを提出させることが必要である旨の助言を受けたことから、同二年一〇月一日付けで、役員及び使用人に対し、「海外研修出張命令指示書」と題する書面(甲二の一ないし四)を交付した。右書面によると、<1>創業九〇周年を記念して、原告の将来及び各個人の世界的視野の拡大を目的とした海外主張研修を社命とする、<2>研修先は必ず海外とする、<3>必ず一か所は屋外広告等原告に関係した施設のある都市を視察する、<4>帰国後はレポート及びミーティングにおける報告を義務付ける。<5>研修先は各自が独自に考え、事前に会社に報告し承認を受ける、<6>研修に係る費用の支給額及び日数は、勤続年数を参考にして決定する等とされていた。

(二) 原告は、別表二記載のとおり、本件雑手当の支給額を五〇万円、七〇万円、一〇〇万円、一四〇万円の四段階に分け、平成二年一二月二五日、役員及び使用人に対し、勤続年数に応じてそのいずれかを額面とする約束手形を振出した上、その支払期日にこれを支払った。もっとも、原告の使用人のうち、中西秀夫については、勤続年数が二年にすぎなかったため、本件雑手当の支給は行われなかった。原告は、本件雑手当として支出した合計一三一〇万円を右約束手形の振出日の属する平成二年度の損金に計上した。

(三) 原告の役員及び使用人総数一八名のうち、木下保子、楠本明子ら六名を除く一二名は、平成三年一月五日、成田空港を出発してシドニーに向かい、同月一三日、シドニーから帰国した。右一二名は、一行から遅れて同月一九日に帰国した原告代表者を除き、全員往復とも同じ航空機に搭乗した。また、右海外渡航には、本件雑手当の支給を受けなかった中西秀夫も同行した。

(四) 原告代表者は、実息楠本研の妻である楠本明子とともに平成三年二月三日、大阪空港を出発してホノルルに向かい、同月一七日、ホノルルから帰国した。右海外渡航には、原告に勤務していない楠本研も同行しており、明子と研は、原告代表者より一足早い同月一五日に同じ航空機でホノルルから帰国した。また、原告の使用人である高上馬昌子は、これと前後して、同月五日、ホノルルに向かい、同月一四日、ホノルルから帰国した。

(五) 原告代表者は、平成三年八月一〇日、ロサンゼルスに向かい、同月二九日、ホノルルから帰国した。また、原告代表者は、同年一〇月には妻一恵とともに北京を往復し、同年一一月にも一恵とともにホノルルを往復している。

(六) 原告代表者と原告の使用人四名は、平成三年一二月五日、成田空港を出発してニューヨークに向かい、同月一四日、ワシントンから帰国した。右五名は、全員往復とも同一の航空機に搭乗した。

(七) 原告は、審査請求手続では、研修結果を記載した報告書等は保存していない旨主張していたが、本件訴訟において、各人毎にその出張期間、訪問都市、概算予算、研修出張所感等を記載した「一九九一年度海外研修出張レポート」と題する書面(甲四の一ないし一三の各一)を提出した。右書面によると、前記三の海外渡航の際の主張期間は、各人毎に異なるものとして記載されており、訪問都市についても、シンガポール、バンコック、ベルリン、ジュネーブ、ニューヨーク、シカゴ、ホンコン、アトランタ等、シドニーとは方角を異にする都市が多数挙げられている。また、原告の使用人である中尾和弘と水口文一作成の右書面(甲四の二の1、甲四の七の一)には、実際には海外渡航を行っていない期間に、それぞれパリ及びウィーン、ラスベガス及びロサンゼルスに出張したとする虚偽の内容の報告が記載されている。このほかにも、右書面(甲四の一ないし一三の各一)には、別紙記載のとおり、訪問先等に関し、前記三ないし六の海外渡航の内容とは齟齬する点が多数身受けられる。

(八) 原告は、本件雑手当の支給を受けた役員及び使用人との間で、その後、支給額と実際に海外渡航に要した費用との差額を精算する手続を一切行っていない。また、原告の使用人のうち、木本保子は、本件雑手当として七〇万円の支給をうけながら、海外渡航を行っていないが、原告は、同人に対し、右七〇万円の返還を求めたことはない。

二  そこで、まず、本件開発費が所得税法二八条一項にいう給与等に該当するか否かについて判断する。

1  前記認定事実、殊に原告は、予め本件開発費の総支給額を定めた上、その範囲内で、業務に有益な企画等を行った役員及び使用人に対し、その功績に応じて本件開発費を支給しており、各人に対する支給額も、五万円から三〇万円までの範囲で、二万五〇〇〇円刻みにランク付けされた金額となっていること、さらに、本件開発費が毎年一一月に支給されていたことからすれば、本件開発費は、雇用契約に基づく労務の対価として支給された賞与としての性質を有するものと認められ、所得税法二八条一項にいう給与等に該当すると解するのが相当である。

2  もっとも、原告は、本件開発費は役員及び使用人が商品開発等その業務のために出捐した実費の一部として支払われたものであり、接待交際費、厚生費、旅費交通費、運搬費、外注費、仕入れ、事務用品費、通信費、消耗費、修繕費等に該当する旨主張し、これに沿う証拠として、「研究開発費概略」と題する書面(甲一)、「一九九一年度研究開発費実体」と題する書面(甲六の一)、「九一年度研究開発費」と題する書面(甲六の二)及び原告代表者尋問の結果を援用する。

しかしながら、右各書面は、いずれも原告代表者の手控え(甲六の二)ないし本件訴訟のために作成された説明書(甲一、甲六の一)にすぎず、本件全証拠によっても、役員及び使用人が出捐したとされる実費の支出先、支出金額、支出年月日等は全く詳らかでないばかりか、かえって、前記認定事実によれば、各人に対する本件開発費の支給額は、その出捐に係る実費の多寡によることなく、原告の業務に対する貢献度によって決定されたというのであるから、右各書面(甲一、甲六の一及び二)の記載内容及び原告代表者の供述をそのまま鵜呑みにすることは到底できない。

三  次に、本件雑手当が所得税法二八条一項にいう給与等に該当するか否かについて判断する。

1  前記認定事実、殊に原告は、創業九〇周年を記念して、役員及び使用人に対して本件雑手当を支給し、海外渡航のための休暇を与えることを計画したものであり、勤続年数によって、五〇万円、七〇万円、一〇〇万円、一四〇万円のいずれかの金員を支給していること、本件雑手当の使途については、海外研修費と定められていたものの、実際には、これに反し、海外渡航を行わなかった使用人に対しても、本件雑手当の返還を求める措置は一切取られていないこと、渡航先については、屋外広告等のある都市の視察が義務付けられているほかには格別限定はなく、現に、原告においては、平成三年中にシドニー、ニューヨーク等への団体旅行が実施され、役員及び使用人の殆どがこれに参加していること等の諸点に照らせば、本件雑手当は、雇用契約ないし委任契約に基づく労務の対価として支給された賞与としての性質を有するものと認められ、所得税法二八条一項にいう給与等に該当すると解するのが相当である。

2  もっとも、原告は、本件雑手当は原告の業務遂行上必要な海外研修のための旅費交通費として支給された旨主張し、これに沿う証拠として、前記「一九九一年月日度海外研修出張レポート」と題する書面(甲四の一ないし一三の各一)及び原告代表者尋問の結果を援用する。

しかしながら、前記認定のとおり、右書面(甲四の一ないし一三の各一)は、本件訴訟になって初めて提出されたものであり、その記載内容も、実際の渡航期間、訪問先とは著しく掛け離れているばかりか、かえって、本件雑手当の支給対象は、原告の役員及び使用人のほぼ全員に及び、海外研修の目的も、視野の拡大という漠然としたものにすぎず、原告の業務に具体的に結びつくものとは認められないのみならず、現実に行われた海外渡航も、役員及び使用人の殆どが参加する団体旅行あるいは観光地への家族旅行であったというのであるから、右書面(甲四の一ないし一三の各一)の記載内容及び原告代表者の供述を鵜呑みにすることは到底できない。

四  最後に、本件納税告知及び本件賦課決定が信義則に反し、違法であるか否かについて判断する。

租税法規に適合する課税処分が、法の一般原理である信義則の法理により違法とされるのは、租税法規の適用における納税者間の平等、公平という要請を犠牲にしてもなお当該課税処分に係る課税を免れしめて納税者の信頼を保護しなければ正義に反するといえるような特別の事情が存する場合に限られるところ、右特別の事情が存するといえるためには、少なくとも、税務官庁が納税者に対して信頼の対象となる公の見解を表示したことが必要であるものと解される(最高裁昭和六二年一〇月三〇日第三小法廷判決・集民一五二号九三頁参照)。

原告は、本件開発費について、これまで被告ないしその部下職員から、その税務処理について是正等を指示されたことはなく、昭和五九年度には申告是認通知(甲八)を受けていることをもって、信頼の対象となる税務官庁の見解の表示であると主張するけれとも、前者については、およそ税務官庁の見解の表示そのものに当たらないことはいうまでもなく、後者についても、申告是認通知は、税務官庁の事務上の便宜並びに納税者に対する便宜供与のための事実上の行為であって、それまでの調査に基づき、納税者の申告に対する税務官庁の一応の態度を表明するものにすぎないのであるから、過去に申告是認通知(甲八)を受けたことがあることのみをもって、信頼の対象となる公的見解が示されたものということは到底できない。

また、原告は、本件雑手当についても、大阪国税局職員に対する相談結果をもって、信頼の対象となる税務官庁の見解の表示であると主張するけれども、かかる私的な相談をもって税務官庁の公的見解が表示されたものということはできないのみならず、そもそも、本件雑手当は、前示のとおり、業務遂行上必要とされる海外渡航のための費用として支給されたものではないのであるから、本件雑手当が業務遂行上の必要に基づく海外渡航のために支給されることを前提としてなされた大阪国税局職員の助言をとられて、信義則違反を論難する余地はないというべきである。

五  結論

以上によれば、本件納税告知には何ら違法な点はなく、これに基づく本件賦課決定にも違法な点は存しない。

(裁判長裁判官 下村浩藏 裁判官 福井章代 裁判官 清野正彦)

別表1

<省略>

別表2

各月別・各受給者別源泉所得税額明細表

<省略>

<省略>

別紙

日本人出帰国記録調査書と海外研修出張レポートとの対比表

<省略>

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